パーツ:
Gms-g9 をテストするには
Gms-g9 の吐き出すログを記録できるようにしないといけない。
基本的に
Gms-g9 は,電源を供給すれば
UART というシリアル通信型式でテキストデータとしてログを吐き出す。
なので,それを記録する物があればよい。
記録するものとしては,
Ultimate GPS unit の場合と同様に,
SparkFun で売っている
OpenLog を使うことにした。
電源には
LiPo 電池(リチウムポリマー電池)を使い,電池のコントローラーとして,
SparkFun 製の
Power Cell を使った。
Power Cell のいいところは,
LiPo 電池を充電させることもできるし,出力を取り出すこともできる点である。
他にも,EN ピンを GND とショートさせるとユニットをオフにできるし,出力電圧として 5V あるいは 3.3V を選ぶことができ,
さらに
LiPo 電池の電圧が下がりすぎると出力を止める機能も持っている点などが挙げられる。
今回は
全て 3.3 V で稼働する系なので,
Power Cell の出力はハンダジャンパーを付け替えて,3.3V 出力としておいた。
後は,
Gms-g9 ユニットに電源を供給すればいいのだが,
GlobalTop のサイトからダウンロードできる
Gms-g9 の説明書によると,
Vcc にはフィルター回路が必要であり,
バックアップ電源入力にも 3V 程度の電圧を供給しなければならない,ということだった。
また,衛星の捕捉ができていないことを示すために LED をつけるといいとも書いてあった。
これらのことは,
GlobalTop 社の
PA6H を組み込んだ
Adafruit 社の
Ultimate GPS unit が参考になった。
回路図は最後の写真を見て欲しい。手描きの図を載せておいた。
GNSSユニット部:
電源のフィルター回路は,100 MHz で 600Ω のインピーダンスを持つフェライトビーズを直列に入れ,GND との間に 1 µF と 0.1 µF のコンデンサを入れる,という形のフィルターが推奨されいた。
そこで,その回路に則り,フィルター回路をつけることにした。
コンデンサもフェライトビーズも表面実装用のチップ素子を使ってみた。
LED も表面実装用の小さな部品を使ってみた。推奨回路では LED には 330 Ω の抵抗を直列に入れる,となっていたが,
1 kΩ でもよさげなので,消費電力が小さくなるように 1 kΩ の抵抗を使ってみた。
1 kΩ の抵抗でも LED は十分に光っている。
LED の色はなんでもよかったが,これまた電流の割に明るそうな(ホントかな?)赤色にしてみた。
回路としては大したことはないのだが,実際に組み立てるのは結構手間だった。
一つにはピンセットでしか挟めない表面実装用の部品を使っている,というのもあったが,
もっと面倒くさかったのは,
Gms-g9 の端子の間隔が 3.0 mm という点だった。
通常のユニバーサル基板は穴の間隔が 2.54 mm なのだが,
Gms-g9 はそれよりも少し大きな間隔を持っている。
そのため,
Gms-g9 をユニバーサル基板上に直接ペタッと置くのは難しそうだった。
そこで,スズメッキ線を使ってユニットを基板から浮かそうと思った。
しかし,手元にあったのは直径 0.65 mm のスズメッキ線だった
この 0.65 mm のスズメッキ線はかなり太い。
曲げるのも力が必要だし,ハンダ付けをするときにも手間がかかる。
もう一つ細めのスズメッキ線の方がよかった,と後で反省した。
電源+microSD 部:
電源供給部の回路図はとてもシンプルである。
SparkFun 製の
Power Cell と
OpenLog をつなぐだけである。
スペースの関係から,CR1220 ボタン電池用のホルダーも載せておいた。
さらに,消費電流を知りたかったので,
OpenLog や
Gms-g9 の電源供給ラインに簡易型のジャンパーを入れておいた。
そこに 1 Ω 程度の抵抗を挟んでおき,その両端の電圧を測ることで消費電流を知ることができる。
消費電流を知る必要がない時は,ジャンパー部をショートしておけばいい,という作戦である。
消費電力の話は下の方に書いておいた。
プログラミング:
このシステムも
Ultimate GPS unit の場合と同様にプログラムの必要はない。
電源をオンにするだけで,
Gms-g9 はデータを吐き出しはじめ,
OpenLog は記録を開始する。
しかし,
Gms-g9 がどのような電波を受信しているかは,ログを解析しないとわからない。
そこで,今回は
SparkFun の
FTDI Basic (3.3V用) というパーツを買ってみた。
それを使って
Gms-g9 をコンピュータの USB コネクタにつなぎ,
GlobalTop 社製の
GPS Viewer というソフトを使うと,
リアルタイムに受信している衛星の情報を表示させることができる。
その結果については後日報告したいと考えている。
使ってみて:
Gms-g9 を起動すると,
Gms-g9 の
3D-FIX 端子に付けた赤色 LED が1秒ごとに明滅する。
これは衛星の捕捉ができていないことを示しており,十分な数の衛星を補足すると LED は消灯してしまう。
家の窓際で動作させると衛星の捕捉に1〜2分かかっていた。この程度は致し方ないと思っている。
今後バイクのツーリングに持っていって他の GPS ロガーと比較してみたいと思っている。
消費電力:
今回のユニットは,
OpenLog や
Gms-g9 の消費電流を測れるようにしておいた。
その結果は,
OpenLog はログの書込み中,ほぼ
6 mA の電流を消費していた。
これは
SparkFun のサイトに書いてあった通りであった。
Gms-g9 はタイミングによるが,衛星の捕捉前は
35 mA 程度を消費していたが,
衛星を捕捉してからは
30 mA 程度であった。
1システム全体としても消費電流は LiPo 電池での駆動時間を測ってみないとわからないが,55 mA 程度でないかと想像している。
そうなれば,1000mAh の LiPo 電池なら 18 時間弱は駆動できるはずであり,1日のツーリングに耐えられそうである。
実際に
LiPo 電池での駆動時間について調べてみた。
・
850 mAh の
LiPo 電池の場合の持続時間
1回目:75311 sec (20:55:11) → I = 850/75311*3600 =
40.6 mA
この結果より,この OpenLog + Gms-g9 ユニットの GPS ロガーは,平均で約
41 mA の電流を消費していることになる。
Adafruit Ultimate GPS unit の場合の
46 mA よりも消費電流が少ない,という結果になった。
これは
Adafruit Ultimate GPS unit の場合には
Power Cell の出力を 5V のまま使っているが,
今回は出力を 3.3V に変更した。その辺りが効いているのかもしれない。
41 mA のうち,6 mA 程度が
OpenLog によるもの,30 mA 程度が
Gma-g9 によるもの,
残りの 6 mA 程度が
Power Cell によるものだと考えられる。
ここから逆に
Adafruit Ultimate GPS unit の場合の
Power Cell の出力電圧を 3.3V にした時の消費電流の推定値は,37 mA となる。
その結果,850 mAh の LiPo 電池なら,82702 sec ~ 23 時間となる。これは是非試してみないといけない。
(
追記)
さっそく
Adafruit Ultimate GPS unit の場合で,
Power Cell の出力電圧を 3.3V にしてみた。
結果は消費電流はなんと
35mA であった。
まぁ予想通りといえるが,
46mA が
35mA に減ったので,システムとしては画期的に消費電流が減ったことになる。
持続時間が 18 時間程度だったものが 24 時間を超えたので,使用上もかなり安心度がアップした。
また,
PA6H と
Gms-g9 で,消費電流が
6 mA 程度違う,ということもわかった。
Gms-g9 はかなり消費電力が増えている。
GPS だけで済むのなら,それはそれで消費電力が少なくなり,持続時間が長くなっていいのかもしれない。
今後,さらに使い込んで,
Adafruit社製の
Ultimete GPS unit や
Transystem 社製の
TripMate850,
Garmin 社製のナビ
nüvi 3770v と比較してみたいと思っている。
GlobalTop 社製 Gms-g9 使用 GNSS ロガー 2号機の作成に続く